
株式会社ユーマスブレーン 代表取締役
映画「二宮金次郎」普及会
丸山 孝明 氏
本年一月の年頭大会で映画「二宮金次郎」を上映させて頂き、お世話になり誠にありがとうございます。この映画は、令和元年に完成し、監督の熱い思いから一時のブームとしないために全国の映画館には配給せず五月三日より小田原市民会館で一ヶ月間上映会が行われ、全国の心ある人が集い、私も堺から参加し超満員でものすごい熱気であったことを記憶しています。そしてその感動を地元に持ち帰り自主上映会を開催するという方式で始まりました。
私も堺市で上映会の準備を始めましたがコロナ蔓延にて当日会場が閉鎖され、開催できませんでした。日本全国でも同様の状態となり映画製作委員会は数百名の会場での上映会ではブルーレイで行いますが、予定になかったDVDが発売され、それを手に草の根・種まきの小グループでの上映会を開始し、先日上映会通算百回目となりました。
私がこの「二宮金次郎」を意識しましたのは三十年程前のことです。バブルが崩壊し平成不況で日本経済が大変な状態になっていたときのことです。日経新聞社がビジネスビデオ「心願の経営」を発売し、バブルで浮かれた会社が破綻するのは不況ではない。素晴らしい経営をしている会社は堅実に業績をあげている。そして社員教育に力を入れ、共通して著名な教育者森信三先生の人間学を人材育成の柱にしているというもので、その時初めて森信三先生のお名前を知り、調べると全国に森信三先生に学ぶ読書会があり、堺に近い岸和田にもあることを知りすぐに尋ねました。そこで森信三先生(明治二十九年ー平成四年)に深く身近におられた先生に森先生は二十一世紀をどの様にお考えになられていたのか、お尋ねしますと「日本は二〇二五年に立ち上がるであろう。しかしその再起再生の原動力になるのは二宮尊徳の教えに基づくほかない」とのお言葉を知り、先の長い話だと感じたのを記憶しています。

そして瞬く間に二〇二五年となり、二宮金次郎の映画が完成したことを知り、森信三先生の言葉が甦り小田原で鑑賞し、一人でも多くの方に日本の偉人「二宮金次郎」を伝えたいと草の根の上映会を開始しました。上映会をさせていただく中で改めて感じますのは日本の戦後教育の中で「偉人伝教育」が抜けていると気づきました。人として生きる一番大切な教育であり大変残念に思います。
明治時代の日清・日露戦争当時世界のベストセラーとなりましたのが、内村鑑三が英語で出版した「代表的日本人」です。世界の指導者が愛読しケネディー大統領が尊敬する人として質問を受けたとき「ヨウザン・ウエスギ」と答えて日本の記者が知らなかったという話は有名です。その中にも「二宮金次郎」が五人の日本の偉人の一人として取り上げられています。二宮金次郎についてご紹介したいお話が二つあります。

①以前名古屋のトヨタ産業技術記念館を訪問した時、トヨタの創業の精神は二つだと知りました。一つは二宮金次郎の報徳精神、そしてもう一つは不撓不屈の日蓮主義、つまり「世の為に命をかけて奉仕する」この強い思いが世界のトヨタの土台にあることを知りさすがだと改めて感じました。
②もう一つは、今世界のスーパースターとして活躍する大谷翔平を育てた岩手県の花巻東高等学校です。この学校は森信三先生の教育が深く浸透していることでも注目されていています。昨年の二月に訪問し二十年間校長そして理事長として今の花巻東高校を築かれた先生にお話を聞かせていただきました。そこで花巻東高校には二つの柱があり一つは二宮金次郎の報徳精神、そして森信三先生の人間学この二つを徹底して教育しているとのことでした。校門には五十周年に卒業生から贈られた立派な二宮金次郎像がありました。

今、百回の草の根上映会をさせていただき感じますのは、二宮金次郎像で薪を背負い手にしているその本に金次郎の強い精神の原動力があると強く感じています。その本は、四書五経の入門書といわれる「大学」です。「大学」には究極の幸せの極意が示されてあると聞いたことがあります。その中には人として持って生まれた徳分を磨きに磨いて世の為に出し切る事と書かれてあります。
「代表的日本人」の二宮金次郎でも江戸末期、道徳心が薄れ自分のことしか考えず世の中が乱れていました。今も同じように感じます。森信三先生が予言する「二〇二五年日本が立ち上がる。その原動力は二宮金次日本が覚醒する時ではないかと強く感じております。そして一人でも多くの方に二宮金次郎をお伝えしたく思います。ありがとうございます。その原動力は二宮金次郎」日本が覚醒する時ではないかと強く感じております。そして一人でも多くの方に二宮金次郎をお伝えしたく思います。ありがとうございます。